2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学実験非熟練者の安全技能を向上するスマート実験室に関する研究
Project/Area Number |
21500117
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
藤波 香織 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 特任准教授 (10409633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 徳秀 東京農工大学, 大学院・工学府, 特任准教授 (60334215)
江木 啓訓 東京農工大学, 総合情報メディアセンター, 助教 (30422504)
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Keywords | 化学実験 / 安全教育 / 拡張現実感 / 情報多義性 |
Research Abstract |
本研究では化学実験実施時に危険回避を実現しつつも,実験作業を通して安全技能を向上するスマート実験室の設計原理を明らかにすることを目的としており,特に意図的に多義な情報を提示することによる「非教示的な支援」を特徴とする.平成22年度は,1.メッセージの多義度合いの制御方法開発,2.机上情報提示精度の向上,3,注意・警告メッセージの周辺的提示手法の検討,を中心に研究を進めた. 1に関しては,前年度に提案した時間・空間・意味の3要素からなる多義的情報提示モデルのうち,「意味的多義性」の効果を測るにあたっての多義度合いの制御手法の開発が課題となっていた.40名の被験者により,提示する情報の種類と利用者が想起する危険数(多義度合い)の関係を調査した結果,「注意」といった抽象的なメッセージについて,対象となる危険が普遍的な場合には多義の度合いが低く,特定の実験に限定される危険の場合には高くなるという興味深い知見を得た.また2に関しては,低い「空間的多義性」を実現するために物体付近に情報投影する際に利用者に誤解を与えないようにするために,情報と対象物を線で結合する明示的な関連づけ方式の効果を基礎的実験により確認した.3については,周辺の他の作業者から発せられる危険情報に気づき,自らの実験を安全な状態にした上で回避行動をとることができるような情報提示タイミングとモダリティに関する基礎実験を行い,作業と作業の合間に提示することで正確な回避行動に繋がる可能性が確認された. 対外発表に関しては,国際論文誌1篇と招待講演3件を含む15件の対外発表(国際:7件)を通じて,「非教示的な支援」という新しい概念の研究コミュニティへの浸透を試みた.
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