2011 Fiscal Year Annual Research Report
手術シミュレータ向け血管内圧力を考慮した血管の変形方式
Project/Area Number |
21500125
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Research Institution | 東京都市大学 |
Principal Investigator |
向井 信彦 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (20350233)
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Keywords | 画像工学 / コンピュータグラフィックス / バーチャルリアリティ / リアルタイムシミュレーション / 手術シミュレータ / 医療・福祉 / コンピュータ支援外科 |
Research Abstract |
本研究では、血管の内部圧力を考慮することにより正確な血管の変形を行いながらも、手術練習というリアルタイム応答性を達成するために、血管内圧力を考慮した高速な血管変形方式の確立を目的としている。 平成21年度は、非圧縮性流体を取り扱えるMPS(Moving Particle Semi-implicit)法を用いて正確な血流シミュレーションを行うための基礎方程式を導入し、血液粒子同士だけでなく、血液粒子と血管との衝突判定も統一的に行うため、血液だけでなく血管も粒子に変換して、粒子間の衝突判定を統一的に扱える手法を導入した。 また、平成22年度は正確な血流シミュレーションを行うために、実患者データを基にして血管モデルを構築する手法について検討し、具体的に大動脈弁置換手術を対象として、実患者の3次元CT(Computed Tomography)データから大動脈を自動的に抽出すると共に、抽出された大動脈をポリゴンデータに変換後、最終的には粒子モデルに変換する手法を開発した。 平成23年度は本研究の最終年度に当たるため、平成21年度に開発した血液粒子と血管との高速衝突判定手法を、平成22年度に開発した大動脈の粒子モデルに適用することにより、血管内圧力を考慮した血管変形のシミュレーションを行った。ただし、シミュレーションを行うための基礎方程式を解く上で、血液が流体であるのに対し血管が弾性体であるため、これらの特性を表す構成方程式が必要となる。特に、血液はCasson流体として扱うことで血液粘度などの特性を設定した。また、血液と血管ともに非常に多くの粒子から構成されるため、粒子法を適用する上で近傍粒子を高速に探索する必要があり、ハッシュ法を用いた高速近傍粒子探索手法を開発した。 最終的には、約15,000粒子で構成される血管モデル内に、約7,000粒子で構成される血液を流し、血管の変形を行ったところ、血管の内部圧力を保ちながら血管が変形する様子を模擬することができた。血管の変形に要する時間は約200msであり、約5Hzの応答性能となった。
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Research Products
(6 results)