2009 Fiscal Year Annual Research Report
非線形動力学的観点からの社会性昆虫の数理モデル化と群ロボットへの応用
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21500190
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
菅原 研 Tohoku Gakuin University, 教養学部, 准教授 (50313424)
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Keywords | トゲオオハリアリ / 個体間相互作用 / 引き込み現象 / パトロール行動 / 内部ダイナミクス / 局所的な相互作用 |
Research Abstract |
(1) 2個体の行動にみられるリズム現象 社会性昆虫の集団行動の基本は2個体間(もしくは少数個体間)の局所的な相互作用にある。そこで、何もない実験空間内でのトゲオオハリアリのワーカーの行動に焦点を当て解析した。移動軌跡の計測から空間的な分布に偏りが生じることを明らかにした。また、移動速度の計測からactive-inactiveの繰り返しが生じることを示した。active-inactiveが相互に現れる傾向があることから、アリの内部状態における「周期性の存在」と「引き込み的な相互作用」が存在することが示唆された。そこで、この現象を理解へ向けて簡単な引き込みモデルを仮定し、シミュレーションによる定性的な理解を試みた。 (2) パトロール行動のモデル化 トゲオオハリアリの女王は移動と休止を繰り返しながら全ワーカーと接触する行動(パトロール行動)を示す。このときパトロール時間はコロニーサイズに依存することが報告されている。この行動において、女王はどのようなメカニズムでコロニーサイズを知るのであろうか?この行動を局所的な相互作用をベースとして理解できないだろうか?我々は女王、ワーカーそれぞれに簡単な内部状態を導入し、接触によりそれらが相互作用するモデルを構築して、本現象の再現を試みた。女王アリの内部状態、ならびにワーカーの卵巣の発達具合を表す内部状態を導入し、接触によりそれらの内部状態が相互作用するモデルを構築した。このモデルに基づいたシミュレーションを行った結果、コロニーサイズが大きくなるにつれてパトロール回数、パトロール時間が増える特性が得られた。この結果は実験により得られている事実と定性的に合うものとなっている。
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Research Products
(4 results)