2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形動力学的観点からの社会性昆虫の数理モデル化と群ロボットへの応用
Project/Area Number |
21500190
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
菅原 研 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (50313424)
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Keywords | トゲオオハリアリ / 個体間相互作用 / 引き込み現象 / パトロール行動 / 密度依存性 / フェロモン |
Research Abstract |
(1) 個体の行動にみられるリズム現象 昨年度に引き続き、何もない実験空間内でのトゲオオハリアリの個体1匹、ならびに2匹の行動に焦点を当て解析した。本年度は、女王の他、働きアリにおいて、主に巣外で行動する「外役」、巣内で行動する「内役」を区別して実験を行った。得られた結果は以下の通りである。 (1)1匹の行動において、活発・不活発の周期的行動が見られるが、その周期を計測した結果、女王≒内役>外役であることが明らかになった。 (2)2匹の行動において、外役―外役の組み合わせでは、活発・不活発の周期性において、同位相になる傾向が見られた。また、内役―内役の組み合わせでは、その周期性が逆位相になる傾向がみられた。 (2) 2つの部屋をもつ巣内における女王のパトロール行動 トゲオオハリアリの女王は移動と休止を繰り返しながら全ワーカーと接触する"パトロール行動"を示すことが知られている。しかし、その行動パターンを詳細に調べた先行研究がない。そこで以下の実験を行った。 (1)簡易巣内における女王のパトロール行動の解析を行った。その結果、女王の周囲に存在するワーカー数が多いほど、女王の移動速度が遅くなる傾向が見られた。 (2)この結果が、ワーカー数に依存しているのか、ワーカー密度に依存しているのかを明確にする実験を行った。2つの部屋をもつ人工巣を作り、女王のみが両部屋を行き来できるような環境を作った。各部屋のワーカー数や部屋のサイズを変化させた結果、ワーカー密度に依存することが明らかになった。また、ワーカーを取り除く実験を通して、密度の認識には個体間の直接接触と、場に残っている間接的な情報の両者に依存していることが分かった。
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Research Products
(3 results)