Research Abstract |
マイクロ・ナノレベルである微小物体の感覚量やこれまで不適であった皮膚などを用い,実物体と仮想物体の重畳的画像から複合現実感を提示・教示する感覚モダリティシステムを構築し,人間の不定な感覚量を新たな感覚モダリティとして提供し,伝えることのできるコミュニケーション支援システムを提案する.昨年度までに,微細物体の力覚(反力)および視覚のシミュレータ,顕微操作および触覚システム,また,意識と情動を表出するコミュニケーションシステムの構築を行い,人体の産毛(直径13μm)の力覚計測を可能とした.当該年度では,引続きシステムの構築を行い,マイクロからマクロまで反力および力覚操作を検証するために,ワンチップマイコンやハプティックデバイスの性能向上を行った.ワンチップマイコンに関しては,制御アルゴリズムの効率を改善させ,また,ハプティックデバイスはトルク定数をおよそ30%向上させることができた.このようなシステムで,疑似皮膚(シリコン)を用いて,粘弾性を含む静的特性と動的特性を計測・解析し,反力および力覚の検証を被験者数名により行った.結果として,力覚は物体の静的な特性を用いた方が,実体を直接触れたときと似ているという傾向を示した.しかしながら,物体の変形を仮想表示するシミュレータ上では,動的な特性によるパラメータを利用する方がより自然な変形を模擬できているのではないかという指摘があった.また,非常に柔らかい,ソフトな力覚,あるいは,一方向への拘束性などの問題も指摘された.そのため,このような問題を改善するため,技術的な改善点を考察し,ADなどの変換器の入出力ポートや2自由度化への再設計を行い,来年度はこれらを踏まえて,更なる検証を遂行する
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