2009 Fiscal Year Annual Research Report
系統的解析に基づく、「かわいい」人工物の系統的構成手法の導出
Project/Area Number |
21500204
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
大倉 典子 Shibaura Institute of Technology, 工学部, 教授 (00317364)
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Keywords | かわいい / 感性価値 / 色 / 大きさ / 質感 / 心拍 / 脳波 |
Research Abstract |
本研究では、人工物(ものつくりの成果物)の感性価値として「かわいい」を取り上げ、その物理的な属性を系統的に解析することにより、「かわいい」人工物の系統的構成法の導出を目指す。 この目的に照らし、平成21年度は以下を実施した。 1.これまでに先行して行ってきた人工物の「かわいい形」・「かわいい色」に関する研究成果をまとめた。 2.これまでの「形」・「色」に続く物理的属性として「大きさ」を取り上げ、かわいい大きさについて、バーチャル環境で実験を実施した。実験では生体信号も同時に計測し、形と色が同じ3次元物体でも、大きさは小さい方がかわいい評価が高い傾向にあることと、同じ大きさでも、かわいいと評価する被験者はそうでない被験者より心拍数が大きいことを確認した。 3.文献調査と共に、新たにアンケートを実施し、その結果を分析することにより、「かわいい」の物理的な属性として、次に解析すべき対象を「質感」に決定した。 4.同じ形と色で質感の異なる9種類のバーチャルオブジェクトを用意し、かわいい質感の実験を実施した。実験結果の解析から、動物の毛のようなやわらかい質感・ふわふわした質感がかわいいという評価が高いという結果を得た。 以上の研究成果は、従来の社会科学分野あるいは人文科学分野の研究から予想される内容を含んでいるが、バーチャル環境の利用により、他の物理的属性をまったく同一にして比較している点や、生体信号を用いて感性価値を客観的に評価している点に、大いなる意義がある。
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