2009 Fiscal Year Annual Research Report
特異摂動系の分岐理論に基づく心筋細胞興奮ダイナミクスとパラメータ感受性の徹底解明
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21500216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土居 伸二 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (50217600)
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Keywords | 分岐 / 活動電位 / 心臓 / イオンチャネル |
Research Abstract |
代表的分岐解析ソフトウェアであるAUTOを使用し,心臓洞房結節のペースメーカ細胞に関するHH型モデルの大域的分岐構造を網羅的・包括的に解析することで,これら心筋細胞のパラメータ感受性(ひいては薬物感受性)の解明を試みた.詳細は以下の通り: 洞房結節のペースメーカ細胞のHodgkin-Huxley型モデルであるYNIモデルとZhangモデルを用いて,心筋細胞の電気的興奮の性質及びパラメータ感受性に関して解析を行い,洞房結節内の部位間での類似点・差異を明らかにした. また,これらのHH型モデルには,イオンチャネルを通したイオンの流出入(速い現象)のみを考慮したものと,イオンポンプやイオン交換体を通した遅いイオンの流れと細胞内外のイオン濃度変化(これも遅い現象)も考慮したものがある.これらのイオンの流れは時間スケールの相当異なる現象であり,速い流れと遅い流れの両者を考慮したモデルは,数学的には特異摂動系となる(実際には,イオンチャネルの中にもやや遅いものと速いものがあり,さらに複雑なマルチスケールの特異摂動系である). これら特異摂動系の分岐解析には様々な困難が存在するので,平成21年度は,イオンポンプやイオン交換体を通したイオンの流れと細胞内外のイオン濃度変化などの遅い現象を一時的に無視する(定数として扱う)ことで,詳細な分岐解析を可能にした.
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