Research Abstract |
(1)環境地図の構築への好奇心の導入 自律ロボットの環境内での自己位置推定において,surpriseの概念を付加することで早期の自己位置推定を実現する手法を提案した.提案手法の基本となるパーティクルフィルタは,パーティクルと呼ばれる粒子を探索空間に複数個配置し,その集合で自己位置の確立分布を表現するものである.本研究では,パーティクルをクラスタリングすることで,自己位置の候補点を絞る.候補点をより絞り込むために,各候補点からどのように動けばよいかを選択する際にsurpriseの概念を利用している.具体的には,次の動作によって,各候補点に対するセンサ情報の期待値の分散が最大になるような行動を選択する.これにより,早期の自己位置推定が可能となった.また,クラスタリングの際に,壁や障害物を考慮することにより頑健な行動選択を実現した. 自律ロボットのSLAM(地図作成と自己位置推定)に関して研究を進めている.現在,従来用いられてきた情報量最大化基準に好奇心を取り入れる手法を開発中である.これまでのシミュレーションの結果,地図作成の精度を犠牲にすることで,自己位置を早期に推定できることを確認している.地図作成と自己位置推定の両方の精度の向上が今後の課題として残る. (2)ロボットの行動獲得における本能的欲求の導入 ロボットにタスクを学習させる際の,本能的欲求の導入の方法について研究を行った,本能的欲求の大きさを本能的欲求の対象となる身体状態(例えば,食欲という欲求の場合は,空腹度)の関数として表現する方法を提案し,行動獲得の速さを上げるためには,どのような関数であればよいかを実験的に調べた. (3)追跡ゲームにおける,行動観察に基づく他者の意図推定への好奇心の導入 獲物がある意図の下に自己の行動を行っている追跡ゲーム(1台のロボットが1つの獲物を追いかける)に対して,獲物の行動観察により,意図を推定するモデルを作成した.上記(2)と組み合わせ本能的欲求と好奇心を同時に導入することの有効性をシミュレーションにより確認する研究を行っている. (4)最適化問題、レイアウト問題への好奇心の導入 選言的な制約を含む制約条件付き最適化問題や制約充足問題に対して,好奇心を導入して解探索における,多様化と集中のバランスをうまく取る方法を提案した.また、それをレイアウト問題に適用し,複雑な制約を持つ対象でも,局所最適解に陥ることなく効率良く解を求めることができることを示した.
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