2009 Fiscal Year Annual Research Report
鮮魚の色彩と熟練的品質評価に基づく品質推定システムの開発
Project/Area Number |
21500232
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
中村 誠 National Fisheries University, 海洋機械工学科, 准教授 (40399639)
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Keywords | 鮮魚 / 鮮度 / 熟練 / 品質推定 / システム / ファジィ推論 |
Research Abstract |
本研究は「食の安全」を守りかつ「水産業(特に,水産物卸売市場)の技術・技能の空洞化」を防ぐ手段・手法を提案することを目的として,"鮮魚の熟練的品質評価モデルと魚肉鮮度(K値)-魚体体表の色彩の数理モデルとを組み込んだ品質推定システム"のプロトタイプを構築するものである。 平成21年度は,卸売市場の競り人による単色相系低彩度魚種と複数の色相が混在する魚種等に対する外観評価と,下関老舗フグ仲卸業者のふぐ処理士によるトラフグ身欠きに対する品質評価を解析対象としてモデル化を図った。併せて,魚肉鮮度(K値)と魚体体表の色彩との経時的関係を統計的手法により調査し,K値-色彩の数理モデルの作成を試みた。 その結果,競り人による低彩度魚種(マアジ,サワラ,カワハギ等)の外観評価には主に体央部の色彩が反映されること,またこれらの色彩はK値との相関が高いことが確認された。各魚種ともこれらの色彩4個を前件部変数に用いたファジィ推論モデルを設計した。モデルの推定結果と競り人の外観評価とが一致する割合は約95%程度となった。 ふぐ処理士によるトラフグ身欠き(養殖,未凍結品)の品質評価には主に腹部の色彩が反映されること,またこれらの色彩もK値との高い相関が確認された。これらの色彩4個を前件部変数に用いたファジィ推論モデルの推定結果とふぐ処理士の品質評価とが一致する割合は約90%程度であった。 以上の結果より,競り人及びふぐ処理士による鮮魚(身欠きも含む)の評価は,共に計4個の色彩の指標を組み合わせることでモデル化が可能であることが示された。
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