2011 Fiscal Year Annual Research Report
例規条項の自治体間対応関係と差異の網羅的な自動抽出-道州制への円滑な移行に向けて
Project/Area Number |
21500253
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
若尾 岳志 獨協大学, 法学部, 准教授 (50388328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 要一 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (00324830)
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Keywords | 例規 / 都道府県 / 道州制 / 地方分権 / 計算機 / 自動抽出 / アライメント / 言語処理 |
Research Abstract |
本研究では、例規集の自治体間、特に都道府県間の差異を明確化させる事により、将来の道州制移行時の例規統合にかかる工数削減に貢献する事を目的とする。そのために、コンピュータを用いて例規の類似性及び、類似した例規に置ける条項レベルの相違点を明確化する方法を確立させる。 その目的を達成するため、これまでに文字レベル、単語レベルにおける類似性判定を行う複数のアルゴリズムを構築してきた。本年度は、この研究結果を論文としてまとめ、査読有りの論文誌である言語処理学会論文誌「自然言語処理」へ投稿し、その採録が決定された(出版は2012年度)。 前年度までの結果は、ある例規の条文がある例規と対応関係にあるか否の関係推定をYes/Noの2値で表現していた。そのため推定された対応関係がどの程度尤もらしいかを表現する事ができなかった。そこで本年度は、受信者操作特性を用いてその尤もらしさを表現する事を可能とした。これにより類似した例規における条項レベルの相違点を明らかにする際に、ヒトと計算機との協調作業を容易にする事が可能となった。また、この受信者操作特性に有効な類似性尺度は、前年度までの2値での表現で有効であった類似性尺度と必ずしも一致せず、特に最長共通部分文字列に基づくアルゴリズムで差異が大きい事が判明した。具体的には、条題に対して最長共通部分文字列を適用した場合、特異度(specificity)は低いものの、受信操作特性曲線下面積が他のアルゴリズムよりも大きく、最も優れている事があきらかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
例規集の自治体間比較を行う事を目的とし、今年度までの研究期間で二例規の条文の対応関係を推定するためのアルゴリズムに対する研究を終える事ができ、かつ論文が採録決定となり、順調に推移しているといえる。ただし、論文の採録時期が予想よりも遅くなり、データベースの一般公開が遅延しているため、(2)と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策についての大きな変更点は存在しない。今後も例規集の自治体間の差異を明確させる事を目的とする研究を遂行していく。例規集の差異を明らかにするためには、例規集に含まれる例規間の対応関係と、例規に含まれる条項号間の対応関係というレベルの異なる2つの対応関係が存在する。今後、例規集対応関係のデータベースを構築していくにあたり、後者に関する研究へと重点を移していく。
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