2011 Fiscal Year Annual Research Report
音楽的音高の聴覚表象と音高符号化の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
21500256
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮崎 謙一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (90133579)
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Keywords | 認知的干渉 / Garner干渉課題 / 感覚次元の独立性と統合性 / 絶対音感 / 相対音感 |
Research Abstract |
音楽的音高カテゴリーと音高名の間に認知的相互作用が,感覚次元の相互作用と同等のものかどうかを確かめるために,感覚次元の分離性を調べる方法であるGarner干渉課題を用いた実験を昨年度に引き続き行い,データを蓄積した.音高と音高名の2次元における2値(歌われた音階のレとミの音高×発音された階名レとミ)を組み合わせた4刺激を提示し,実験参加者は非関連次元は無視して,関連次元の値に関して刺激を,口頭反応またはキー押し反応することによって分類した.その結果,非関連次元の値が一定のbaseLine条件にくらべて,その値が変動するfiltering条件では,反応時間が長くなる傾向が,特に音楽訓練群において顕著に見られることがより明確になった.この結果から,音楽訓練を受けた被験者,特に絶対音感を持つ被験者では,音高と音高名が統合次元として処理されていることが示唆された.また絶対音感保有者が非保有者にくらべて特異な音楽的音高処理を示すことが示されたことから,絶対音感保有者が音楽経験者の間にどのくらいの割合でいるのか,絶対音感と相対音感の間にどのような関係があるのかを明確にするために,日本の大学生1,300人と,ワルシャワのFryderyk Chopin University of Musicの学生250人からの絶対音感テストのデータを集計・分析した.その結果,絶対音感保有者の割合が,日本の音楽専攻学生では50%近くに達するのに対し,ポーランドの音楽学生では10%であることが示された.この違いは,主として発達初期の音楽訓練の違いによるものであると考えられる.この結果に基づき,ポーランドの共同研究者との共著論文を執筆し,Journal of the Acoustical Society of Americaに投稿した.
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