2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本語話者の素朴心理学:心的動詞の意味構造とテクスト内語使用
Project/Area Number |
21500257
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
内藤 美加 Joetsu University of Education, 大学院・学校教育研究科, 教授 (00212077)
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Keywords | 素朴心理学 / 心的動詞 / テクスト / 小説 / 翻訳 |
Research Abstract |
平成21年度は日本語もしくは英語が原典の小説を材料とし,日常会話が含まれている部分を一節ずつ抜粋して,それぞれその英語もしくは日本語の翻訳と比較した。日本語の原典では英語の翻訳に比べ心的動詞が使われる頻度が低く,逆に英語翻訳では日本語原典にない心的動詞が補われることが明らかになった。一方,英語の原典では日本語翻訳に比べ心的動詞およびその主体(主語)を明示する頻度が高く,逆に日本語翻訳では心的動詞を直接訳出せず,代わりに終末助詞(例えば,らしい,でしょう)などで話者の心的状態を表現する場合が多いことが示された。このことから,日本語話者では心的動詞を明示せず,文脈や婉曲表現によって間接的に心的状態を表現することが多いのに対して,英語話者では心的状態を明示する動詞およびその心的状態を持つ主体を明確に表現する話法を取ることが示唆された。本年度はアニメーションスクリプトを十分検討するに至らなかったため、次年度は引き続き心的状態表現を日本語と英語のアニメーション原典とその翻訳で検討する。 さらに22年度の予備実験として,先行研究で用いられた心的動詞30語(例えば,わかる,知る,説明する)について,それらが小学生でも用いたり理解したりする言葉であるかを小学校教師25名に評定してもらった。その結果,27語は小学生にも理解できる平易な日常語であることが確認できた。22年度はこれを材料として類似性評定を実施する予定である。
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