2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500262
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Research Institution | Tokiwa University |
Principal Investigator |
中原 史生 常磐大学, コミュニティ振興学部, 教授 (10326811)
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Keywords | 認知科学 / 比較認知科学 / 社会的認知 / 鯨類 / コミュニケーション / ハンドウイルカ / ハナゴンドウ |
Research Abstract |
本研究は、マイルカ科の鯨類を対象として、聴覚的、視覚的に呈示された他個体の個体認知や種の認知について検討することを目的としている。平成23年度は、昨年度までの実験結果を踏まえて、九十九島水族館で飼育中のバンドウイルカ、ハナゴンドウを対象とした画像による種弁別と個体弁別の実験を行った。実験では、TVモニターを使用して訓化画像(種弁別実験では同一種、個体弁別実験では同一個体の画像)に馴化させた後、訓化画像と新規画像(種弁別実験では別種、個体弁別実験では別個体の画像)合わせて2枚を同時に提示し、被験体の各画像注視時間を計測した。その結果、種弁別実験においては訓化呈示で用いた種とは異なる種の画像を長く注視しており、バンドウイルカ、ハナゴンドウともに種の違いを全身画像に基づいて弁別できることが示された。個体弁別実験においてバンドウイルカは訓化呈示で用いた個体とは異なる個体の画像を長く注視しており、個体の違いを全身画像に基づいて弁別できることが示唆されたが、ハナゴンドウは実験途中で行動が崩れてしまい、データを取ることができなかった。 また、聴覚による個体認知を調べる目的で、九十九島水族館において、自由遊泳時、トレーニング時、プログラム時にイルカのホイッスルの収録を行い、解析を行った。その結果、鳴き交わし時に個体に特徴的なホイッスルを用いること、協力行動時に特定のホイッスルを発している可能性があることが示唆された。 実験実施に遅れが生じてしまい、研究期間内にすべての実験を終了することができなかったが、現在も音声-映像統合弁別実験の訓練を実施中である。音声-映像統合弁別実験は、ある個体の音声を呈示し、その個体を含む2個体の映像から音声に該当する個体の映像を選ばせるというものである。この実験結果を踏まえて、鯨類における聴覚情報と視覚情報を統合した社会的認知機構について考察を行う予定である。
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Research Products
(5 results)