2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500264
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
生塩 研一 Kinki University, 医学部, 助教 (30296751)
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Keywords | 時間認知 / 時間知覚 / 大脳生理学 / 電気生理学 / 前頭前野 / 線条体 / 大脳基底核 / 霊長類 |
Research Abstract |
我々は1秒と2秒をそれほど苦もなく峻別できる。しかし、脳が実際にどのようにして時間の長さを計って2つの時間を比較しているのかはほとんど分かっていない。ヒトを使ったfMRIやPETのイメージング実験などから、前頭前野、頭頂葉、運動補足野、運動前野、大脳基底核、小脳、海馬などの多くの脳領野が時間知覚において何らかの形で関与していることが分かってきたものの、各領野の具体的な機能的役割は不明で、それを明らかにするには電気生理実験によって個々のニューロンレベルでの情報処理機序を解明する必要がある。時間は、視覚、聴覚、触覚などの感覚種には依存しない物理情報であり、前頭前野がそれらの感覚情報を統合する領野であることはよく知られている。また、線条体は前頭前野からの入力を受け、視床経由で前頭前野とループ回路を形成しており、前頭前野と機能連関が深いと考えられている。申請者は時間に関するサルの電気生理実験を実施し、刺激呈示期間や遅延期間における前頭前野や線条体ニューロンの活動について報告して来た。実験では、2つの視覚刺激(青色か赤色の四角形。1番目をC1、2番目をC2と呼ぶ。)をそれぞれ異なる時間、引き続いて呈示した後、呈示時間が長い方を選択すると報酬を与える時間弁別課題を課した。比較すべき時間は200ミリ秒から2000ミリ秒の間から選んだ。特に、2008年に発表した論文では、C1期間中で刺激呈示開始から一定時間の遅延後にバースト的な発火を示すバースト的な発火をを示す前頭前野ニューンが多数見付かった事を報告した。この発見は、前頭前野が時間の長短を区別する基準を表現していることを示唆する。今年度の日本神経科学会では、誤判定試行での神経活動を解析して、前記示唆を補強するデータを報告した。
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Research Products
(2 results)