2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500265
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
岩城 達也 Hiroshima International University, 心理科学部, 准教授 (70341229)
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Keywords | 感情 / 時間特性 / 主観的体験 / 脳波活動 / 心理生理学 |
Research Abstract |
私達はネガティブな感情を体験すると、その感情に強く支配された状態が続くことを知っている。一方で、こうした感情は時間が経つと消失してしまう。本研究はこのような感情の時間変化を明らかにしようとする試みである。本年度は、まず、主観感情強度のリアルタイム計測システムの製作と信頼性確認を行った。Griffin社製PowerMateを用いてノブ型評価装置を試作し、その動作特性を検討したところ、最小の心理変化の表現に約4度ノブを回転させる必要があること、また、回転量と変化する目盛りの間には直線的な関係があることを確認できた。さらに、この装置を用いて異なる周波数に対する主観的な音量を評価する実験を行ったところ、従来報告されている聴感度曲線と類似した結果を得ることができた。このことから、開発した装置が心理量を精度良く表現し、十分に信頼性のある計測方法であることを確認した。次に、匂い刺激を提示した際に生じる快不快感情の時間変化を検討した。実験参加者16名に対して快または不快感情を喚起する匂い刺激をそれぞれ150秒間提示した。開発した装置を用いた主観感情評価からは、匂い提示後40秒程度まで感情強度が高まり、その後は一定水準を推移する変化が示された。同時に記録した生理指標、特に脳波活動の分析からは、不快な匂い提示において相対的な前頭部の右活性や左前頭部におけるα波周波数のゆらぎ係数に低下がみられた。これらの変化は、主観感情強度変化と必ずしも対応しなかったが、不快感情に対する従来の知見と一致した。
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Research Products
(5 results)