2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500267
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
ABLA Dilshat The Institute of Physical and Chemical Research, 生物言語研究チーム, 研究員 (00391847)
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Keywords | 分節化 / 事象関連電位 / ERP / N400 / 統計的学習 / 言語獲得 |
Research Abstract |
音声言語習得の場合は、まず聴覚的に連続な刺激が切り分けられ(分節化)、次に意味と対応を持つシンボルとなる必要がある。それと同様に、視覚的な言語習得の場合においても、視覚文字列、パタンの分節化が重要である。 われわれは先に行った研究の、無意味な純音単語を用いた統計的規則性を持つ連続音声の分節化課題では、分節化を反映し、学習の達成度と強く相関する事象関連電位(ERP)成分(N400)を発見した。本研究では、聴覚分節化研究で得られたERPと同様な成分が、視覚分節化過程でも検出されるか、その電位は遷移確率、学習成績・進行過程とどのような相関関係を持っているかについて調べた。 実験では、まず11つの図形を作り、その中の3つの図形から一つの図形列(単語)が形成させるようにして、6個の図形列を用意した。それをランダムに隙間を空けずにつないで7分の連続刺激を作った。連続刺激の特徴としては、図形単語内の三つの図形の間の遷移確率が高く、単語と単語の間の遷移確率が低いという統計的性質を持っている。連続刺激に含まれる各図形をTVモニターに個別に呈示し、被験者に黙視してもらった。この過程で計3セッションのERP記録を行った。 その結果、遷移確率がもっとも低い単語の切れ目(単語の第1図形)で、単語の第2、3図形に比べ、高い振幅のN400電位が観察された。どの程度分節化ができたかをテストして、その成績で2つのグループにわけると、分節化を示すこのERP成分は、成績の高い被験者では学習初期にもっとも強く、成績の低い被験者では、学習が進むにつれ徐々に大きくなった。これらの結果は、被験者が連続刺激の中で次に呈示される図形を予測し、統計的情報を手がかりにして分節化し、N400電位がその統計的学習および分節化を定量的に反映していることを示唆する。本研究から、視覚情報の分節化過程は聴覚分節化と同じく、領域一般性(domain generality)の脳処理様式で行われることが示唆された。
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Research Products
(3 results)