2009 Fiscal Year Annual Research Report
シミュレーションに基づく最適な混合効果モデルの選定:理論と応用
Project/Area Number |
21500275
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂本 亘 Osaka University, 基礎工学研究科, 准教授 (70304029)
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Keywords | モデル選択 / 経時対応データの解析 / 制限付き最尤推定 / 周辺尤度 / 情報量規準 |
Research Abstract |
経時対応データなどの解析に用いられる混合効果モデルでは,候補となるモデルの中から最適なものを選定したい場合に,漸近正規性などの大標本理論の前提となる正則条件(モデルのパラメータの真値がパラメータ空間の内点にあること)を満たさないことがある.このとき,既存の尤度比検定や情報量規準などによるモデル選定の方法論をそのまま適用することができない.本研究の目的は,従来の検定に基づく方法にとらわれず,情報量理論やBayes流接近法の視点から,混合効果モデルの選定についての方法論を再構築し,その評価を行うことである.とくに統計的シミュレーションに基づく方法の研究に重点をおく.本年度の研究成果は次のとおりである. ●尤度比検定に基づく方法 尤度比検定統計量の帰無分布をシミュレーションに基づいて数値的に生成し,p値などの裾確率を求めることができる.ベギ変換平滑化スプライン混合効果モデルに対して,シミュレーションに基づく尤度比検定を応用し,経時対応データの事例に適用した. ●情報理論に基づく方法 情報量規準では,平均対数尤度を最大対数尤度によって推定するときに生じる偏りを考慮した補正項を加える(混合効果モデルの場合,通常の対数尤度の代わりに制限付き対数尤度などの利用も考えられる).事例検討の中で,その偏りをシミュレーションに基づいて評価した.その結果,真のモデルのパラメータ空間があてはめるモデルのパラメータ空間の境界上にある場合に,偏りが過小評価されることを確認した.
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