2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500282
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
塚原 英敦 成城大学, 経済学部, 教授 (10282550)
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Keywords | リスク管理 / 数理ファイナンス / 金融工学 / リスク計測 |
Research Abstract |
歪みリスク尺度を推定する際に自然に考えられる推定量は,統計学においてL統計量と呼ばれる形をしている.ファイナンスにおける時系列データについては独立性の仮定が現実的ではないため,非独立データに対する推定量の挙動を調べる必要がある.そこで本研究では,まず定常かつ強混合である確率変数列に対する一般のL統計量の漸近理論を厳密・詳細に分析した.その結果,強一致性や漸近正規性が成り立つためのかなり一般的な条件を見つけることができた.それらはこれまでの研究で得られているものを若干改善した結果である.さらに,ファイナンスデータに良く適合するとされるGARCHモデルを用いたシミュレーションをいくつか条件を変えて行い,この場合には理論的に得られた漸近正規性がある程度の標本数で実現されていることが示された.さらに,近年実証分析でも注目されている確率ボラティリティモデルの特殊形について,その幾何的エルゴード性を示した.このモデルでは,ボラティリティ過程が逆ガンマ分布となるため,収益率過程はt分布をもち,その結果リスク尺度推定量のパフォーマンスをシミュレーションで調べる際に有用である.以上の結果は現在論文にまとめて当分野の専門誌に投稿中である. シミュレーションおよび理論的アプローチにより,リスク管理におけるリスク資本配分やポートフォリオ最適化・パフォーマンス評価について,歪みリスク尺度1パラメータ族の比較分析を行った.資本配分については,想定分布にかかわらずに期待ショートフォールや比例オッズ歪みリスク尺度による配分はかなり類似していることがわかった.一方,比例ハザード・ガウス歪みリスク尺度による配分については数値的精度に多少問題があり,正確な比較ができていないのが現状である.
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