2009 Fiscal Year Annual Research Report
生存時間解析に対するセミパラメトリック推測法の開発と応用
Project/Area Number |
21500286
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
服部 聡 Kurume University, バイオ統計センター, 准教授 (50425154)
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Keywords | 生存時間解析 / 生物統計 / 頑健推測 / モデル選択 |
Research Abstract |
今年度は、頑健推測に関する基礎的な知識の習得と、生存時間解析分野における外れ値に対する頑健推測のレビューを行った。これらをもとに、来年度以降の研究を推進する。 Cox比例ハザードモデルは誤特定するとその回帰係数の推定値は対数ハザードとしての意味をなさない。最近の頑健推測の発展をレビューする過程で、誤特定下でも推定量が解釈可能となるような推定法の開発が示唆された。この問題もセミパラメトリックモデルの頑健性を議論するものであり、応用上重要な問題であることから、本研究にて遂行した。先行研究は、打ち切りが治療群の割り付けに無関係に生じる場合にのみ妥当であるが、新たに治療群により打ち切り分布が異なる場合にも妥当となる推定法を開発し、その理論的正当性を調べた。プログラムコードを作成し、数値実験を現在進めている。予備的な検討の段階ではあるが、新たに開発した方法は、打ち切り分布が治療群間で異なる場合にバイアスの少ない推定量を与え、更に、打ち切り分布が同一の場合でも、先行研究の方法よりも推定精度を大きく改善できることがわかった。提案法は生存時間に対しては比例ハザード性などのモデルの仮定を一切置いておらず、提案法は先行研究の方法よりも少ない症例で妥当な推測を可能とするものであり、応用上の意義があると考えられる。 また、生存時間解析におけるモデル選択法に関しては、Cp規準による方法の可能性を探った。直接Cp規準を用いる方法の構成を見出すことは現在まで成功しておらず、来年度以降に検討を継続する。一方で、異なる観点から、予測分布に基づく方法を見出し、その理論的検討ならびに数値的検討を行った。提案した方法は簡明で直観的に極めて理解しやすい方法と考えられ、統計的モデルに基づく生存期間の予測法の評価法として意義あるものと考えられ、今後、本研究内で検討を継続していく。
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Research Products
(6 results)