2010 Fiscal Year Annual Research Report
多様な解像度を持つ多変量時系列データからの現象モデリング
Project/Area Number |
21500287
|
Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
川崎 能典 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (70249910)
|
Keywords | 多変量時系列 / 非同期観測 / 正則化 / 関数データ解析 / MIDAS回帰 / 点過程 / 不等間隔データ |
Research Abstract |
本研究の目的は、データの取得条件によって観測頻度(時間間隔)が異なったり、観測間隔が不規則にしか得られなかったりするような、異なる時間解像度からなる時系列データ群に関する、システム接近型の統計的モデリングを研究することである。H22年度は、当初H23年度に行う計画であったマクロ経済時系列におけるベンチマーク問題(多変量時系列データの相互依存関係を利用した、例えば年次系列からの四半期系列の生成)に先に取り組んだ。このような事情から、金融市場の高頻度データに基づく研究はH23年度に回ることとなった。ベンチマーク問題については、日本のGDP統計でこれまで利用されてきたプロラタ法と呼ばれる比例配分法に関し、速報系列の年集計値と確報系列の作成時に推計される年次系列の差が小さくない場合には断層問題が生じている可能性を指摘した。プロラタ法に代わるベンチマーク法として、比例デントン法とチャオ・リン法の性質を、GDPの設備投資系列や出荷系列で比較検討した。チャオ・リン法は想定している時系列構造に実際のデータがそぐわない場合には不合理な結果を生むことがあり、一方比例デントン法は時系列特性に関してベンチマーク結果が頑健であるとの結果を得た。断層問題やベンチマーク法の影響分析に取り組むことは、政府統計の正確性と迅速性という、相反する要請にこたえるための重要論点である。最後に、統計モデリングにおいて応答が非線形の場合の要因探索に関する研究も引き続き行い、論文・口頭発表を行ったことを附記する。
|
Research Products
(4 results)