2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータを用いたディスオーダー蛋白質の構造情報の網羅的解析
Project/Area Number |
21500289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 周吾 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90272442)
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Keywords | ディスオーダー / 蛋白質 / 立体構造予測 |
Research Abstract |
平成22年度では、ディスオーダータンパク質およびディスオーダー領域が本来もつ構造情報を引き出すために、立体構造予測による解析を中心に研究を実施した。当初予定していたMeszaros2007論文リストのディスオーダータンパク質に追加して、CASP9ターゲット116個に対して解析を行った。これらは、様々な2次構造含有率、フォールド、残基長をもつバラエティに富むテストセットであり、また予測の段階では立体構造が公開されていないため、完全なブラインドテストであるという大きな利点がある。まず、CASP9ターゲットについて、5残基以上の連続したループ領域を含む残基長9のフラグメント(5765本)の端間距離を予測し、実際の端間距離と比較した。その結果、両者の相関係数は0.586であり、これまでに(SCOPフォールド代表構造),43450本)に対して計算されていた値0.502と同等かそれ以上であった。このことから、このツールを用いて配列に含まれる構造情報の解析を行うことの妥当性が確認できた。5765本のフラグメントのうち、連続する3残基以上のディスオーダ円領域を含むフラグメントは130本、連続する5残基以上のディスオーダー領域を含むフラグメントは24本であった。これらのフラグメントについて、予測端間距離と実際の端間距離の相関係数は、それぞれ0.581,0.356であり、半分以上がディスオーダー領域であっても、ランダムよりは明らかによい予測ができていた。また2次元プロットを描いてみると、これらの予測プロット点群は、5残基以上の連続したループ領域に対する予測のプロット点群の範囲におさまり、ディスオーダー領域を半分以上含んでいても、ループ領域とほぼ同等の精度で端間距離を予測できることが示された。以上より、ディスオーダー領域においてアミノ酸配列に少なからず構造情報が含まれていることが確認できた。
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