2011 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータを用いたディスオーダー蛋白質の構造情報の網羅的解析
Project/Area Number |
21500289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 周吾 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90272442)
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Keywords | ディスオーダー / 蛋白質 / 構造予測 / シミュレーション |
Research Abstract |
平成23年度では、ディスオーダータンパク質およびタンパク質のディスオーダー領域のアミノ酸配列中に内在すごる構造情報を引き出すために、昨年度も行っていた立体構造予測の手法を用いた解析を継続し、さらに分子シミュレーションを用いた解析を行った。Meszaros2007論文のリストに挙げられているもののうち、立体構造予測を用いた解析は33残基以上の20個、分子シミュレーションを用いた解析は33残基未満の17個について行った。立体構造予測では、開発したENABLEサーバを用いて、アミノ酸配列のみの情報から立体構造を予測し、予測立体構造と、実際の複合体中の立体構造を比較した。予測立体構造は1タンパク質あたり5つとし、その中でもっとも実際の立体構造に近かったものを解析対象とした。その結果、1j2jB,1ki1C,1ki1Dで、実際の立体構造とのTMscoreがそれぞれ0.663,0.740,0.785の予測構造が得られた。一般にTMscoreは0.4以上であるとランダムとは異なる意味のある構造類似であるといわれており、有意に実際の構造と似た予測構造が得られたといえる。またシミュレーションでは、レプリカ交換法を用い、フリー状態の構造を2psごとに1蛋白質あたり2500個サンプリングし、2次構造およびC・間距離の分布を求めて、それらを複合体中のものと比較した。その結果、とくにヘリックス部ではフリー状態においても複合体中の構造が多く出現し、またループ部においても、複合体中の構造が再現される場合がみられた。これらの結果は、アミノ酸配列のみ用い、しかも複合体形成の相手となるタンパク質の情報を入れていないことを考えると、ディスオーダータンパク質であっても複合体形成時の立体構造の情報がアミノ酸配列に含まれている可能性を示唆するものであり、大変興味深い。
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