2009 Fiscal Year Annual Research Report
各々のマイクロアレイによるエクソン毎の遺伝子発現データの絶対定量化技術の開発
Project/Area Number |
21500292
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
相崎 健一 National Institute of Health Sciences, 毒性部, 室長 (40322086)
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Keywords | アルゴリズム / 生体生命情報学 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
現状では相対的変動のみ測定可能なエクソン用マイクロアレイにおいて、各々のエクソン毎の発現量を細胞一個あたりのコピー数として精密に絶対量測定できるようにするため研究を実施している。平成21年度においては、プローブの基本性能を精査すべく、マウスの肝臓と脳の破砕液を、DNA含有量を基準とし100%:0%,75%:25%,50%:50%,25%:75%,0%:100%の割合で混合した5種類のサンプル(このサンプル群では忠実度の高い測定系ならば全てのmRNA分子が混合比に応じた直線的な量的分布を呈する)を用いた。 標準化手法としてPercellome手法を適用してこのサンプル群をAffymetrix製のエクソンアレイにより測定したところ、3'IVTアレイと同様にエクソンアレイにおいても、高発現域における上に凸の飽和パターンと共に、中~低発現域において下に凸のパターンが多数検出された。これはクロスハイブリダイゼーションの存在を示す結果(あるプローブに対して半特異的なRNAが多量に存在するとクロスハイブリダイゼーションし、特異的だが少量のターゲットRNAの結合を競合的に阻害する。半特異的なRNAは洗浄過程で剥落するため、結果的に測定値が真の値より小さくなり、下に凸のパターンとなる)であり、エクソンアレイにおける誤差の原因が核酸配列に依存するプローブーターゲット間結合係数の差異だけでなく、クロスハイブリダイゼーションの影響も加算されている可能性が示唆された。 本年度の解析結果により、従来想定されていたものの具体的な程度が不明であったエクソンアレイにおけるクロスハイブリダイゼーション誤差の存在と影響範囲が実測値において初めて確認された。平成22年度ではクロスハイブリダイゼーション対処のための追加の評価用データを取得し、エクソンアレイ用のデータ補正アルゴリズムの作成を目指す。
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