2010 Fiscal Year Annual Research Report
各々のマイクロアレイによるエクソン毎の遺伝子発現データの絶対定量化技術の開発
Project/Area Number |
21500292
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
相崎 健一 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 第一室長 (40322086)
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Keywords | アルゴリズム / 生体生命情報学 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
mRNAの測定に関しての現状では相対的変動のみが把握可能であり、エクソン用マイクロアレイ(以下ExA)もその例外ではない。これは毒性学が頻繁に必要とする網羅的なバリアント解析の大きな障害となっているため、各エクソンの発現量を細胞一個あたりのコピー数として精密に絶対測定する研究を実施している。平成21年度までに、ExAにおける誤差が、核酸配列に依存するプローブとターゲット間の結合係数の差異だけでなく、核酸配列の部分的一致によるクロスハイブリダイゼーションの一種の半特異的ハイブリダイゼーション(以下、SSX)にも起因している可能性を見いだした。平成22年度は、プローブ設計の不備による誤差とSSXによる誤差を分離するために、ExAデータをプローブセット(エクソン毎に1つ設計されている)レベル、及びプローブ(エクソン毎に1~4つずつ設計されている)レベルで解析した。低~中発現遺伝子に於いては、SSXの影響が大きく、類似配列を有するmRNAが高発現した際に影響を受けていた。他方、他からのSSX影響を受けにくいと考えられる高発現遺伝子に於いては、従来から確認されている飽和現象と共に、スプライシングが無いとされる遺伝子のエクソン測定値がランダムに分布する現象が観測された。これは当初、プローブ設計不備と考えたが、各プローブ毎の濃度・信号直線性は良好で、また塩基配列に影響されないことから、精査した結果、高発現の遺伝子と言えども、ExAサンプル調整過程でランダムプライマーを用いるため多様な配列の核酸断片が生成する結果、類似配列を有する核酸断片の総量はSSXを引き起こすに十分であることを見いだした。以上より、ExAのSSXを配列情報を基にin silicoで補正することでこの問題が解決する方向性を明らかにした。
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