2010 Fiscal Year Annual Research Report
時間次元を用した匂い情報表現:濃度不変性と分類の時間-精度トレードオフ
Project/Area Number |
21500294
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 悌也 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (90250844)
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Keywords | 脳・神経 / 脳型情報処理 / 情報表現 / 時間コーディング |
Research Abstract |
近年の生理学的研究は,様々な刺激が神経ネットワークの時間的活動パターンで表現されていることを明らかにしてきた.しかしながら,時間パターンによる脳内情報表現が,どのような計算論的アルゴリズムによって生成され,どのように計算論的課題遂行に役立つか,は明らかにされていない.本研究の目的は,嗅覚情報処理に焦点をあて,脳型情報処理における時間次元を用いた情報表現の計算論的重要性を示すことである.本年度は,ネットワークの構成要素である神経モデルに神経活動依存的なシナプス結合生成ルールを持たせ,ネットワーク構造が生成可能であるかをシミュレーションにより確認した.特に,21年度に提案した活動の時間順序を評価する高次中枢モデルにおいては,その構造が一次中枢出力神経からの結合と高次中枢内の結合が整然とした組み合わせ構造を持ち,これがどのような自己組織的メカニズムにより創発するかを重点的に検討した,仮定するシナプス結合生成ルールとして、1)プレシナプス機構のみ,2)ポストシナプス機構のみ,3)プレシナプス-ポストシナプス間の協調的機構,を検討した結果,時間順序を判定するネットワークの自己組織化には,プレ-ポストの協調的機構が必要不可欠であることを明らかにした.明らかにしたプレシナプス-ポストシナプスの協調的機構は,生理学的に十分妥当なメカニズムであり,提案した時間順序により匂いをコードするネットワークモデルの生物学的妥当性を強く支持す結果である
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