2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500304
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
浜崎 浩子 北里大学, 一般教育部, 教授 (00211483)
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Keywords | 刷込み行動 / インプリンティング / visual Wulst / IMM / NMDA受容体 / 電気生理 / 記憶・学習 / ヒヨコ |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、刷り込み行動の成立には、VW-IMM回路の中のHDCo細胞において長期増強が起きることが重要であり、これにはNR2Bサブユニットを含んだNMDA受容体(NR2B/NMDA受容体)の機能亢進が関与していることが明らかになった。この長期増強は、in vivoにおいて電気刺激によって起きる長期増強とは性質が異なることも示された。 今年度は、HDCo細胞で起きる長期増強のメカニズムを詳細に検討した。トレーニングの時間経過に伴って起きる変化をとらえるために、通常連続20分間行うトレーニングを前半10分(第一段階)、1時間の休息をおいて後半10分(第二段階)で行ったところ、第一段階終了後では刷り込みは不成立であったが、第二段階の終了後では成立していた。そこで、第一段階終了時におけるHDCo細胞の生理的変化を調べた。電気生理学的解析では、トレーニング第一段階終了時には電気刺激に対する応答の増加は検出されなかったが、NR2Bサブユニット依存性のNMDA電流が増強していた。また、HDCo細胞のNR2Bサブユニットの発現量をウエスタンブロッティングにより解析したところ、トレーニング第一段階終了時には、すでに、細胞表面に発現するNR2Bサブユニットが増加していた。 これらの結果から、HDCo細胞ではトレーニングの初期にNR2B/NMDA受容体の活性化と、それに伴うNR2B/NMDA受容体の発現上昇が起きていることが明らかとなった。 これまで幼弱期の学習に伴う神経細胞活動性の変化の詳細な解析は、その適切なモデルが少ないことからほとんどなされていなかった。本研究によって、NR2B/NMDA受容体の活性化が学習過程で起きる最初の変化であるという知見が初めて得られたのは重要であり、意義深い。
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