2009 Fiscal Year Annual Research Report
セロトニン欠乏モデルマウスを用いた脳内モノアミン調節機構とPTSD発症機序の解析
Project/Area Number |
21500305
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
一瀬 宏 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (90192492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳岡 宏文 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (10452020)
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Keywords | 脳神経疾患 / 神経科学 / 医療・福祉 / タンパク質 / 生理学 |
Research Abstract |
我々はモノアミン代謝関連遺伝子の破壊により、特徴的なセロトニン欠乏モデルマウスの作製に成功した。このマウスの行動解析を行った結果、心的外傷後ストレス障害(PTSD)様の行動変化、つまりトラウマ的出来事の後に不安が全般的に亢進する現象を認めた。そこで、このマウスにおけるセロトニン減少の分子機構を明らかにすること、PTSD発症におけるセロトニンニューロンの役割を明らかにすることを目的として本研究を行っている。本年度の研究においては、我々の作製したセロトニン欠乏モデルマウスにおいて破壊した遺伝子が、オリゴデンドロサイトに高発現しているため、オリゴデンドロサイトの異常がPTSD様の行動異常に関連しているかについて検討した。まず、モデルマウス脳を抗ミエリン塩基性タンパク質抗体による免疫染色、クリューバーバレラ染色、電子顕微鏡による観察などを行い、ミエリン形成に異常が見られないか観察した。その結果、特に大きなミエリン形成の異常は起きていないことが判明した。また、前駆細胞からオリゴデンドロサイトへの分化に与える影響を調べるため、本モデルマウス胎仔脳からオリゴデンドロサイトの初代培養を確立し、分化誘導刺激による突起形成に変化がみられるか検討した。その結果、野生型マウスと本モデルマウスの初代培養オリゴデンドロサイトにおいて、特に大きな分化過程の変化は認められなかった。これらの結果は、本モデルマウスにおいて観察された脳の機能異常に、オリゴデンドロサイトの変化はあまり寄与していないことを示唆した。
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