2009 Fiscal Year Annual Research Report
コンドロイチン硫酸プロテオグリカンによる脳の臨界期決定機構
Project/Area Number |
21500323
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 清司 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (30243124)
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Keywords | プロテオグリカン / 臨界期 / 脳 / 可塑性 / シナプス / バソプレッシン / 細胞外マトリックス / tPA |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸プロテオグリカンが神経回路の臨界期に対してどのような作用を有するのか調べた。 1) 大脳体性感覚野のバレル領域における、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン発現 コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの発現は、脳の発生過程においてバレル構造に対応したパターンで発現する。しかし、空間的・時間的に異なる種類のコンドロイチン硫酸プロテオグリカンが発現していた(Brain Res., Vol.1252, 2009)。 2) 膜貫通型コンドロイチン硫酸プロテオグリカンRPTPζの脱リン酸化による神経細胞樹状突起形成 RPTPζには全長型と短縮スプライシング型の2つのアイソフォームがあり、細胞内Phosphatase活性により樹状突起の長さや分岐において独立的に制御していることが明らかになった(Neuroscience, Vol.164, 2009)。 3) バソプレッシンを分泌する下垂体後葉神経系におけるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの発現変化 バソプレッシン神経の活動増加は、細胞外マトリックスであるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンを分解することで神経回路の可塑性を誘導することを証明した(Neuroscience, Vol.166, 2010)。 4) バソプレッシンを分泌する下垂体後葉神経系におけるtPA-Plasminogenの発現変化 細胞外マトリックスであるコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの分解は、セリンプロテアーゼであるtPA-Plasminogenによるものであることが明らかになった(J.Neurosci.Res., Vol.88, 2010)。 5) グリア細胞におけるOBCAM接着因子の増殖と細胞サイズ調節 免疫グロブリンスーパーファミリーに属すOBCAM接着因子は、type-1 astrocyteグリア細胞の増殖や細胞サイズを制御していることが明らかになった(J.Neurochem., Vol.112, 2010)。
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