2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンドロイチン硫酸プロテオグリカンによる脳の臨界期決定機構
Project/Area Number |
21500323
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 清司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30243124)
|
Keywords | プロテオグリカン / 臨界期 / 脳 / 可塑性 / シナプス |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPGs)は、脳における主要な細胞外マトリックスであり、神経系の可塑性に深く関わっていると考えられる。本研究では、バソプレッシン神経系が存在する視床下部や下垂体後葉でCSPGsの局在を観察したところ、細胞外に密なマトリックスを形成していることが明らかになった。通常の飲水に代わりに2%NaClを飲ませた浸透圧刺激により、視床下部や下垂体後葉のバソプレッシン神経に存在するある種のCSPGsの発現量が顕著に減少した。このCSPGs発現量減少は、RT-PCR解析よりmRNA発現量による低下ではないことが分かった。よって、これらの発現量減少は、プロテアーゼなどによる分解であると推測された。そこで、バソプレッシン神経系におけるCSPGsなどのマトリックス分解酵素であるTissue-type plasminogen activator(tPA)ならびにPlasminogenについて調べた。tPAは、バソプレッシン神経の樹状突起や終末部に特異的に存在し、plasminogenについてはアストロサイトに局在していた。tPAは、浸透圧刺激によるバソプレッシン神経の興奮により放出され、細胞外マトリックスを分解することが確認された。また、浸透圧刺激によりtPAのmRNA発現が有意に増加した。tPAならびにPlasminogenのノックアウトマウスは、浸透圧刺激によるバソプレッシン分泌能力が著しく低く、浸透圧負荷により顕著な体重減少を示し、浸透圧調節能力が低いことが分かった。以上の結果は、CSPGsを主とする細胞外マトリックスは、バソプレッシン神経の活動に依存してプロテアーゼなどにより分解調節されることで、神経回路の可塑性にかかわりバソプレッシンの分泌を調節していることが示唆された。
|
-
[Journal Article] Localization of plasminogen in mouse hippocampus, cerebral cortex, and hypothalamus2011
Author(s)
Taniguchi, Y., Inoue, N., Morita, S., Nikaido, Y., Nakashima, T., Nagai, N., Okada, K., Matsuo, O., Miyata, S.
-
Journal Title
Cell and Tissue Research
Volume: 343
Pages: 303-317
URL
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Tissue plasminogen activator and plasminogen are critical for osmotichomeostasis by regulating vasopressin secretion2010
Author(s)
Imamura, Y., Morita, S., Nakatani, N., Okada, K., Ueshima, S., Matsuo, O., Miyata, S.
-
Journal Title
Journal of Neuroscience Research
Volume: 88
Pages: 1995-2006
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-