2010 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質・視床の局所神経回路におけるギャップ結合の役割
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21500327
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福田 孝一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (50253414)
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Keywords | ギャップ結合 / 大脳質 / 海馬 / GABA / 神経細胞 / 視床 |
Research Abstract |
新皮質の神経回路におけるギャップ結合の役割を考えるために、これまで私は一次の感覚野をモデルとして研究を進めてきた。平成22年度は視床からの入力を直接受ける4層に注目し、そこでのギャップ結合ネットワークの詳細を追究した。4層は一次感覚野が実行する神経活動の駆動力である視床入力を受ける窓口であり、4層における解明は感覚野におけるギャップ結合ネットワーク理解の鍵となるからである。22年度の成果として、ニューロン間ギャップ結合の空間密度が他の層に比べて4層で最も高いこと、Neurolucidaによる詳細なトレースにより、4層のPV含有GABAニューロンの樹状突起が網(dendritic net)とも呼べる密なギャップ結合連結を作っていること、その中で大型の4層ニューロンは樹状突起を幅広く伸ばし、遠位部で3層PVニューロンとも連結していること、さらに4層PVニューロン細胞体への視床からの直接入力が他の層よりも多いこと、PVニューロン間の相互抑制性結合も4層でもっとも密であることを見いだした。4層におけるこれらの際だった特徴から、4層には密なギャップ結合ネットワークが存在し、視床からの入力が直接このネットワークを駆動すること、さらに相互抑制性結合がその活動をmodulateするという図式が浮かび上がってきた。一方海馬における検討では、PVニューロン間のギャップ結合密度が、海馬の領域ごとに独特の層別パターンを示すことを見いだした。ある領域では遠位樹状突起でもっともギャップ結合密度が高く、外部からのfeedforward入力を受ける樹状突起がcoincidence detectorの役割を果たしていることを強く示唆する所見を得た。しかし別の領域ではむしろfeedback入力を受ける層に多いことが判明した。これらの性質は、記憶形成におけるギャップ結合ならびに同期的神経活動の意義を推測させる。
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