2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質・視床の局所神経回路におけるギャップ結合の役割
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21500327
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福田 孝一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (50253414)
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Keywords | ギャップ結合 / 大脳皮質 / GABA / 海馬 / 神経細胞 |
Research Abstract |
平成23年度は、前年度に得た新知見を、定量解析および電子顕微鏡解析によって、さらに確かなものにできた。また樹状突起ネットのトレース解析を追加し、gap junction樹状突起ネットが示す形態学的特徴の複雑さを、分かりやすい形で総括することができた。 すなわち、昨年度までに、4層PVニューロンが視床からのdriving inputを細胞体上に多数受けるという、他の層にない際立った特徴を明らかにし、また相互抑制性結合も4層PVニューロン間に最も多く存在することを見いだしてきたが、これらの所見は共焦点レーザー顕微鏡観察に基づくものであり、本当にそこにシナプス結合が存在することを電子顕微鏡により示す必要があった。そこでCorrelated CLSM-EM法を用い、共焦点レーザー顕微鏡で同定したboutonを再度電子顕微鏡で観察することにより、確かに4層PVニューロン細胞体上にそれらのシナプス結合が多数存在していることを確認した。またトレースにより、3層から5層まで樹状突起を広げ、遠位部で選択的にギャップ結合を形成しHub的な役割が想定されるタイプと、樹状突起野が小さく、密なギャップ結合ネットを形成する小型のPVニューロンとのニタイプの存在が明確になった。前者は広い領域における同期性検出装置として、また後者は視床入力に応答して活性化する同期性出力装置としての役割が想定される。他方海馬においても、前年度の定性的観察により得た、歯状回とCA1では層ごとにギャップ結合の分布に大きな違いがあり、かつ二領域の分布パターンは異なっているという所見を、定量解析により明確化した。すなわち新皮質でも海馬でも、ギャップ結合樹状突起ネットは各領域や層ごとにかなり異なった形態学的特徴を備えていることが明らかになった。総括すると、ギャップ結合による樹状突起ネットは、各領野や層における計算特性の違いに対応する多様性を持つと考えられる。
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