2009 Fiscal Year Annual Research Report
マウス前脳コンパートメント形成に関わる分子機序の解明
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21500333
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
井上 高良 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所 診断研究部, 室長 (20370984)
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Keywords | 脳・神経 / 遺伝子発現制御 / ゲノム / 細胞・組織 / 発生・分化 / トランスジェニックマウス / 細胞接着 |
Research Abstract |
本研究は、最近申請者らの研究でマウス発生初期胚に認められることが確認された『前脳コンパートメント』の形成過程に対応して発現するPax6等の転写因子群が、同じく前脳コンパートメントに符合して発現する細胞接着分子カドヘリン6(Cdh6)をどのように制御しているのか、また、それら前脳特異的な遺伝子発現様式が脳領域性の形成や維持にどのような役割を果たしているのか、申請者固有の解析技術を効率良く組み合わせて解き明かすことを主目的としている。 平成21年度においては約175kbのCdh6ゲノム領域をカバーする細菌人工染色体(BAC)にレポーター遺伝子を組み込んだコンストラクトから任意のゲノム断片を相同組換えの原理を用いて体系的に取り除き、順次マウス受精卵前核へ注入してトランスジェニックマウス個体を作出した。そして、どのゲノム断片除去が前脳コンパートメントに対応したCdh6発現に影響を及ぼすのか、各BACトランスジェニックマウス胚内で検定した。その結果、Cdh6遺伝子転写開始点上流40kb付近に位置するおよそ~5kbのゲノム断片がCdh6の前脳コンパートメント特異的な発現に必要なことが明らかとなった。 今後引き続き、~5kbのゲノム断片の中で、どのような転写因子結合モチーフが前脳部におけるCdh6発現に必要なのか絞り込むことで、前脳コンパートメントにおける遺伝子発現制御機序を明白にする予定である。さらにCdh6遺伝子発現様式を撹乱し、前脳形成にどのような変化が起きるのかを調べることで、マウス前脳領域特異的な接着分子発現の生理的意義がはじめて明らかになることが期待される。
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Research Products
(5 results)