2011 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ幹細胞バンクの構築と"stem cell phenotype"の解析
Project/Area Number |
21500335
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
横尾 英明 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40282389)
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Keywords | 脳腫瘍 / グリオーマ / 幹細胞 / EGFR / 遺伝子改変ラット / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
前年に引き続き、グリア細胞のEGFRシグナル伝達系が異常活性化状態にあり、脳腫瘍を好発することがわかっているS100β-v-erbBトランスジェニックラットの解析を進めた。ヒトグリオーマにおいてEGFRシグナル伝達系の異常活性化はしばしば起こるが、活性化の程度と形成される腫瘍の形質の比較研究はほとんどおこなわれていない。そこでトランスジーンをホモ接合性およびヘテロ接合性に組み込んだ個体を創出し、EGFRシグナル伝達系の強度を2段階に差をつけて比較を行った。その結果、ヘテロ群は発症年齢が有意に遅くなり、形成された脳腫瘍の増殖能が低下していた。またヘテロ群の脳腫瘍は増殖が遅いために、発生母地から腫瘍が進展していく過程を追跡できることが判明した。この実験で、EGFRシグナル伝達系はdoseとrateが発生してくる脳腫瘍の生物学的態度に影響することが明らかになるとともに、脳腫瘍幹細胞から進行段階のグリオーマに至るまでの過程を研究する上で有益なモデルとなることが示唆された。 多層性ロゼットを有する胎児性腫瘍(ETANTR,髄上皮腫、AT/RT,未熟奇形腫)において染色体19q13.42の解析を行い、前二者はこの遺伝子座に局在する特定の遺伝子に活性化が生じていることを明らかにした。細胞系譜を追跡することに加えて、分子遺伝学的な手法が腫瘍の起源を探る上で有用であることが示された。 退形成性乏突起膠腫の一例で、著明な神経細胞への分化を示すものを経験し、それぞれの細胞系譜を分子遺伝学的に検討した。その結果、IDH1遺伝子変異を両成分に認め、腫瘍の発生起源を探る上で有用だった。このことに関連し、グリオーマにおけるIDH1/2研究の現況を総説にまとめた。
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Research Products
(4 results)