2009 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン蛋白オリゴマーの生化学的性質および神経細胞毒性と感染性の検討
Project/Area Number |
21500337
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 健介 Kyushu University, 医学研究院, 助教 (80380616)
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Keywords | プリオン蛋白 / オリゴマー / 界面活性剤 / ゲル濾過 / 遠心カラム / プロテアーゼ / 全反射顕微鏡 / 蛍光抗体 |
Research Abstract |
プリオン持続感染神経芽細胞腫ScN2a細胞を、界面活性剤を用いずに培地中で破砕してホモジナイズする条件下でも、遠心ゲル濾過カラム法によって異常プリオン蛋白オリゴマーを分離、回収できることを確認した。また、このホモジネートを含む培地中でプリオン非感染N2a細胞を培養して、感染が成立した。これらの結果を組み合わせて、どの分子サイズ・重合度の分画がもっとも感染性が強いのか検討することが可能になると考えられた。一方、ScN2aに治療薬を投与して異常プリオン蛋白の動態を解析する研究で、薬剤投与によりプロテアーゼ抵抗性異常プリオン蛋白だけでなく、プリオン蛋白オリゴマーも抑制されるが、薬剤の種類によっては、分子量数100kDa程度の比較的小さなオリゴマーの抑制効果に乏しい場合があることを見出した。これが生体での治療効果に影響を及ぼしている可能性があり、低分子オリゴマーが神経細胞毒性に関与することが示唆された。全反射顕微鏡を用いた解析で、蛍光標識した抗プリオン蛋白抗体を培養細胞から調整したサンプルと反応させて、プリオン蛋白と結合したと考えられる輝点を検出・測定できる条件を決定した。プリオン蛋白オリゴマーを含むサンプルを用いた検討では、未反応の遊離蛍光抗体の輝点のほか、重合プリオン蛋白に複数の抗体が結合したと考えられる高輝度のスポットも観察された。異常プリオン蛋白では埋没していると考えられるエピトープを認識する別の抗体を用いて同様の解析を行ったところ、スポットの輝度のばらつきを認めなくなり、オリゴマーを構成するプリオン蛋白分子は異常な重合や構造変換を伴っていることが示唆された。プリオン病の病態解明にプロテアーゼ抵抗性という指標だけでなく、蛋白重合度や構造変換という指標も重要であることが示された。
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Research Products
(10 results)