2009 Fiscal Year Annual Research Report
運動ニューロン変性と蛋白分解系:shRNAウイルスによるESCRTと細胞死の解析
Project/Area Number |
21500341
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
渡部 和彦 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30240477)
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Keywords | 運動ニューロン / 顔面神経 / 運動神経損傷 / 筋萎縮性側索硬化症 / アデノウイルス / プロテアソーム / オートファジー / shRNA |
Research Abstract |
運動ニューロン死のメカニズムとして,プロテアソームやエンドソーム,オートファジーによる蛋白分解系の関与が考えられる.これら蛋白分解系と細胞死の関わりを生体脳組織で解析するには,運動ニューロン内の特定の分子をノックアウトしその細胞内変化を経時的に捉えうる実験系が有用である.成体ラット運動ニューロンの近位軸索(引き抜き)損傷により細胞死が惹起されるが,損傷軸索に組換えアデノウイルスを感染接種することでウイルスの逆行輸送により特定の組換え分子を運動ニューロンに発現させうる.そこで,蛋白分解系や細胞死に関わる分子の発現を阻止するドミナントネガティブ(DN)-cDNAまたはshRNA組換えアデノウイルスを作製し,成体ラット顔面神経の正常あるいは損傷軸索への感染導入を試みた.プロテアソーム(PSMC1),エンドソーム/ESCRT(TSG101,VPS24)と細胞死(Fas,DAXX,FADD,p38,JNK3,JIP-1)に関わる分子群に対するDN-cDNAまたはshRNAをEGFP発現ベクターにクローニングし組換えアデノウイルスを作製した.COS7細胞に対する組換えアデノウイルスの感染発現をEGFP,蛍光抗体,western blotで,shRNAの抑制効果をDsRed標識ターゲット分子の発現抑制およびwestern blotで確認した.これら組換えアデノウイルスを成体ラット顔面神経の正常,切断または引き抜き損傷モデルに局所注入したところ,正常あるいは損傷運動ニューロンにおけるEGFPおよび導入遺伝子の強い発現を認めた.以上のように,DN-cDNAまたはshRNA組換えアデノウイルスを用いて,成体ラットの正常または損傷運動ニューロンにおける蛋白分解・細胞死経路を抑制する系を構築した.これによって運動ニューロン変性や細胞死のメカニズムを解析するとともに変性を抑止する方法を見出したい.
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