2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500352
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
富山 貴美 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10305633)
|
Keywords | コレステロール / Aβ / アルツハイマー病 / HDL / ABCA1 / アポリポ蛋白質 / 危険因子 |
Research Abstract |
本研究代表者は、アルツハイマー病の脳に沈着するAβが、細胞から分泌される際にコレステロールとともにリポタンパク質様の粒子を形成することで、細胞内コレステロール量を低下させる作用があることをin vitroで明らかにしていた。 本研究では、コレステロール代謝におけるAβの生理作用の機序の解明と、in vivoでの検証を行った。Aβが細胞からのコレステロール汲み出しに関与しているとすれば、APPトランスジェニックマウスの脳では細胞内のコレステロールは低く、APPノックアウトマウスの脳では高いはずである。 これらのマウスの脳を調べてみると、実際に予想通りの結果であった。次に、Aβによる細胞内コレステロールの汲み出しにABCA1が関与しているかどうかを調べるため、siRNAにより細胞のABCA1をノックダウンした。その後、細胞にAPPを発現させてコレステロール負荷を行ったところ、Aβによる細胞内コレステロール低下作用がみられなくなった。これにより、AβはABCA1からコレステロールを受け渡されていることが示された。最後に、Aβ/コレステロール複合体の代謝経路を解明するため、^<14>Cで標識したコレステロールを用いて人工HDL粒子を作製し、Aβと混合後、APPノックアウトマウスの脳室にインジェクションした。経時的に脳および末梢臓器を回収し、各臓器内の放射活性を測定したところ、脳に入れたコレステロールは速やかに肝臓へと移行し、Aβがあるとこの移行が加速されることがわかった。これにより、Aβは脳から末梢へとコレステロールを運ぶ働きをしていることが示された。 以上により、脳内コレステロール制御におけるAβの生理作用の一端が明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)