2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500352
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
富山 貴美 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (10305633)
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Keywords | コレステロール / Aβ / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
平成22年度は、野生型Aβと変異型Aβとでコレステロール排出作用に差があるかどうかを検討する計画であった。 しかし予定を変更して、まず、変異型Aβでも野生型Aβと同じく、コレステロール負荷により細胞からの産生・分泌が増えてアミロイド病理が加速されるかどうかを、マウスを用いて確認することにした。家族性アルツハイマー病で同定されたAPPのE693Δ変異を発現するトランスジェニックマウスは、老人斑は形成しないが,8カ月齢より細胞内にAβオリゴマーを蓄積し、記憶障害を呈する。そこで、5カ月齢の変異マウスに高コレステロール食を1ヶ月間与え、6カ月齢で免疫組織化学により脳のアミロイド病理を、モリス水迷路試験で空間参照記憶を調べた。その結果、通常食を与えた変異マウスではAβの蓄積、記憶障害のいずれもみられなかったが、高コレステロール食を与えた変異マウスでは細胞内にAβオリゴマーが蓄積し、記憶障害が起こっていることが観察された。この結果は、コレステロール負荷により変異型Aβでも産生が増加すること、しかし、本変異型Aβは野生型Aβに比べオリゴマーを作りやすく分泌されにくいことからその病理は細胞内に出現することを示している。本変異マウスでみられた記憶障害は、細胞内に蓄積したAβオリゴマーによる細胞毒性が主原因と考えられるが、本変異Aβの分泌異常により細胞からのコレステロール排出がうまくいかず、それにより細胞機能が低下したために起こった可能性も考えられる。今後、培養細胞の系で、このことを確認する予定である。
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Research Products
(2 results)