2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経系におけるカルモデュリンキナーゼIのレドックス応答性とその意義
Project/Area Number |
21500354
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡辺 泰男 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (10273228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 幸弘 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (30455406)
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Keywords | レドックス / カルモデュリンキナーゼ / グルタチオン化 / 一酸化窒素 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
現在、酸素毒性の要因となる「毒物」として取り扱われてきた活性酸素が細胞内外での情報伝達に積極的な役割を果たしているとされている。一方、細胞内カルシウムイオン濃度の上昇がきっかけとなる数多くの細胞機能はカルシウム/カルモデュリン(Ca^<2+>/CaM)依存性セリン・スレオニンキナーゼ(CaMキナーゼ群)を介して行われている。CaMキナーゼは、キナーゼへのCaM結合によってその活性が制御されている。ところが、CaMキナーゼ群は、活性酸素による新たな活性制御メカニズム、即ち、分子内のメチオニン残基の酸化修飾を介した「レドックス:レダクション(還元)とオキシデイション(酸化)」反応によって制御されている事が示された(Cell 2008, 133, 462-474)。そこで,本研究ではCaMキナーゼ群のレドックス応答性の意義とその分子基盤を解析することを目的とした。 その結果,(1)活性酸素種によるCaMキナーゼ群の活性制御機構ならびに(2)活性酸素種による細胞内カルシウム流入制御機構を見出した。(1)ではCaMキナーゼIの部位特異的S-グルタチオン化(Cys179),CaMキナーゼIIの部位特異的S-ニトロシル化(Cys6/30)に続き,CaMキナーゼIVの部位特異的スルフェン化(Cys198)による可逆的活性阻害を発見し,神経細胞の酸化ストレスによる病態に関わることを示唆した。(2)では,ニコチンによるカルシウム信号系作動には内因性NOによるレドックス反応が必要不可欠であることをPC12細胞を用いて明らかにした。
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Research Products
(17 results)