2009 Fiscal Year Annual Research Report
活性化サブユニットp35コンディショナルKOを用いたCdk5の機能解析
Project/Area Number |
21500356
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大島 登志男 Waseda University, 理工学術院, 教授 (20311334)
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Keywords | キナーゼ / リン酸化 / コンディショナルKO |
Research Abstract |
神経細胞特異的セリン・スレオニンキナーゼであるCyclin-dependent kinase 5(Cdk5)は神経可塑性への関与が示唆されている。Cdk5欠損マウスは胎生致死のため、Cdk5の活性化サブユニットであるp35の欠損マウスを用いてCdk5の生後の脳機能に関する役割について解析し、p35の欠損により空間学習が障害されている事を明らかにした(Ohshima2005)。しかし、p35欠損マウスには軽度の脳構造異常があり、学習の障害が機能的障害によるものか結論を得ていない。また2007年、米国のBibb博士らの研究グループが、Cdk5の誘導型コンディショナルKOマウスを解析し、シナプス後膜でのNR2Bのタンパク質量が増加し、学習・記憶が野生型に比べ増強していたと報告したが、Cdk5のキナーゼとしての機能的意義に関しては、解明されないままである。 本研究では、脳の高次機能におけるCdk5の役割を、活性化サブユニットp35のコンディショナルKOマウスを作製し、空間学習課題や恐怖条件付け課題などの行動解析、電気生理学的解析、生化学的解析を行なう事で明らかにする事を目的としている。H21年度は、p35floxマウスラインの確立と、Creマウスとの交配をおこなった。用いたCreマウスは。(1)tamoxifenの投与によりp35遺伝子の組換えが誘導できるCreERマウスライン、(2)生後の小脳プルキンエ細胞でCreが発現するL7-Creマウスライン、(3)生後の海馬CA1領域で特異的にCreが発現するCaMKll alpha-Creマウスラインであった。p35floxマウスラインに関しては、p35タンパク質の量には変化がないこと、脳組織に形態的異常がない事を確認した。今後は、得られたコンディショナルKOマウスについて、p35タンパク質の喪失があるかを確認し、計画通り解析を進める事とした。
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