2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアの機能切換えスイッチに関する基礎的研究
Project/Area Number |
21500357
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中嶋 一行 Soka University, 工学部, 教授 (50175494)
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Keywords | ミクログリア / M-CSF / MHC claa II |
Research Abstract |
初年度の目標のひとつは、ミクログリア増殖の分子機構を明らかにすることであった。成熟ラットの顔面神経傷害系において、ミクログリアの増殖因子であるM-CSFを定量的に検討した結果、傷害側の神経核で顕著に増加することが明らかになった。このM-CSFの産生細胞は、免疫組織学的にミクログリアと判明した。さらに、M-CSFの受容体であるcFmsも切断側で増加することが認められた。免疫組織化学的検討から、cFms発現細胞はにミクログリアと同定された。また、M-CSFの増加時、ミクログリアはPCNAを発現するようになり、増殖性に変化することも明らかになった。そこで、M-CSFがミクログリアを増殖性に変化させた可能性を、インビトロの系により検証した。その結果、M-CSFを作用させると、ミクログリアにはcFmsが誘導され、同時にPCNAを発現し始めることが示された。以上の結果より、生体内でミクログリアの増殖を誘導する因子は、M-CSFであることが強く示唆された。 もうひとつの研究対象であったMHCclassIIの発現は、検討の結果、ミクログリアの増殖が鎮静した後(3週以降)に見られることがわかった。免疫組織化学的に、その発現細胞はミクログリアであった。しかし、このMHCcllassIIは、CR-3、CD4、TLR4とは挙動を共にしないことから抗原提示以外の機能を持つ可能性が推測された。ミクログリアのMHCclassIIは、どのようにその発現が調節されているか、インビトロの系によって検討した。既知因子の中でMHCclassIIの発現に影響を与えたものはTNFαであったが、TNFαは顔面神経傷害後に増加しないので、生体内におけるMHCclassIIの誘導因子とは考えにくい。従って、他の誘導因子の存在が推測されるので、今後もその検討を続けていく予定である。
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