2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアの機能切換えスイッチに関する基礎的研究
Project/Area Number |
21500357
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
中嶋 一行 創価大学, 工学部, 教授 (50175494)
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Keywords | ミクログリア / 貪食細胞 / 運動ニューロン死 / CD68 |
Research Abstract |
最終年度の目的は、ミクログリアを貪食性細胞に誘導するメカニズムを解析し、貪食性の誘導またはそれに関連する因子を明らかにすることであった。インビボの系として、ラットの顔面神経系を使用し、リソソームの膜タンパク質であるCD68を指標にしてミクログリアの貪食性を解析した。正常な顔面神経核では、CD68は全く発現しておらず、貧食細胞は存在していないと考えられた。次に顔面神経を切断(傷害)した場合、ミクログリアは活性化/増殖性に変化したが、CD68は全く発現していなかった。すなわち、ミクログリアは活性化したが、貪食細胞ではないことが示された。次に、顔面神経切断部位にタンパク合成阻害剤であるシクロヘキシミド(CH)を投与し、運動ニューロンに細胞死を誘導すると、傷害顔面神経核にCD68の誘導が見られた。免疫組織化学的観察の結果、CD68を誘導している細胞はミクログリアであり、運動ニューロン細胞体の周囲に局在することが明らかになった。また、傷害顔面神経核にはリソソーム酵素である酸性フォスファターゼ活性やスカベンジャー受容体が検出されたことから、ミクログリアは貪食細胞に変貌したと考えられた。しかし、傷害神経核には、炎症性サイトカインや傷害性ラジカルの産生酵素(NO合成酵素およびNADPHオキシダーゼ)が検出されないことから、貪食性ミクログリアは傷害性細胞ではないと推測された。また、ミクログリアのCD68の誘導にはプロテインキナーゼC(PKC)の関与することがインビトロの実験から示唆された。 従って、非貪食性のミクログリアは、死につつある運動ニューロンの「eat me signal」に応答し、PKCの働きによってリソソームおよびリソソーム酵素を誘導しながら、非傷害性の貪食細胞に変化すると考えられた。[論文作製中]
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