2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳内に存在するニューロメラニン色素の構造とその生成過程の解明
Project/Area Number |
21500358
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
若松 一雅 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (80131259)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 祥輔 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 名誉教授 (70121431)
加藤 好光 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (20121436)
|
Keywords | ニューロメラニン / ユーメラニン / フェオメラニン / ドーパミン / システイニルドーパミン / パーキンソン病 / 黒質 / 化学分析 |
Research Abstract |
黒褐色で不溶性のメラニン様色素ニューロメラニン(NM)の生成は高い酸化ストレスに対する神経細胞の防御機構の結果であると仮定されている。一方で、NMがフリーラジカルや細胞毒性を有する化合物の供給源になり、酸化ストレスや神経細胞損失のサイクルを永続化させるという報告もある。このようにNMの生理的機能には複雑な二面性があると考えられている。また、この色素がパーキンソン病(PD)の病因に重要な役割を果たしていると関連づけられているが、詳細は不明である。したがって、NMの化学構造とその生成機序の解明は、神経化学の進歩に貢献するのみならず、臨床医学的にもPD発症機序の解明、さらにはその予防への足がかりになると期待されている。平成22年度の研究は、NMの生合成経路の解明とagingによる構造変化を詳細に調べる目的で実験を行った。平成21年度に化学合成したシスティニルドーパミン(CDA)、ジヒドロベンゾチアジンカルボン酸-1(DHBT-1)、オキソジヒドロベンゾチアジン-1(ODHBT-1)およびベンゾチアゾールアミン-1(BZ-1)を標準物質として用いて、ドーパミン(DA)とシステイン(Cys)のチロシナーゼ酸化の反応経路を追跡するために経時的に反応を停止して中間体の分析をするとともに、その反応混合物をアルカリ性H_2O_2酸化と還元的HI水解を行い、生成する分解産物をHPLCで定量した。また、吸光度法により全メラニン量の測定も行った。その結果、最初にDAがCysと反応してCDAとなり、さらにDHBT-1を経て不溶性のPMが生成し、Cysの枯渇後、残存するDAが酸化され不溶性のEMが生成することがわかった。さらに、NMのagingによる構造変化の影響を調べるために、合成NMを100℃または60℃で加熱することにより経時的に合成NMの構造変化を追跡したところ、合成NMの構成単位であるベンゾチアジン構造単位がベンゾチアゾール構造単位に変換されることがわかり、agingによるNMの構造変化を確認できた。また、HPLC分析による合成NMの分解生成物を比較から、NMは合成NM(DA:Cys=1:0.5)を加熱処理した構造に近いことが示唆された。
|
Research Products
(23 results)
-
-
[Journal Article] Melanocortin 1 receptor genotype : an important determinant of the damage response of Melanocytes to ultraviolet radiation2010
Author(s)
Kadekaro, AL., Leachman, S., Kavanagh, RJ., Swope, V., Cassidy, P., Supp, D., Sartor, M., Schwemberger, S., Babcock, G., Wakamatsu, K., Ito, S., Koshoffer, A., Boissy, RE., Manga, P., Sturm, RA., Abdel-Malek, ZA.
-
Journal Title
The FASEB J
Volume: 24
Pages: 3850-3860
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-