2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索ガイダンスを制御する成長円錐形質膜の非対称性エンドサイトーシスの研究
Project/Area Number |
21500361
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 裕之 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経成長機構研究チーム, チームリーダー (10233933)
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Keywords | 軸索 / 成長円錐 / ガイダンス / クラスリン / ダイナミン / エンドサイトーシス / セマフォリン |
Research Abstract |
軸索先端部(成長円錐)は、細胞外環境に存在するガイダンス因子を認識して標的へ到達し、正しい神経回路を構築する。本年度は、反発性軸索ガイダンス(成長円錐が反発性因子を避ける方向に旋回すること)の駆動機構の解明を目的とし、成長円錐での非対称的な形質膜の取り込み(クラスリン/ダイナミン依存性エンドサイトーシス)に関する研究を行った。 ニワトリ胚由来の脊髄感覚神経細胞を培養し、赤色蛍光蛋白質付加クラスリンと緑色蛍光蛋白質付加ダイナミンを遺伝子導入し、エバネッセント照射野での蛍光蛋白質の挙動を観察することで、成長円錐でのクラスリン被覆ピット/小胞の動態を単一ピット/小胞レベルで可視化した。単位面積あたりのクラスリン被覆ピットの出現頻度をエンドサイトーシスの定量値とした。成長円錐の細胞外に反発性因子(セマフォリン3A)の濃度勾配を作製したところ、高濃度セマフォリン3Aに遭遇した片側でより多くのエンドサイトーシスが観察された。 次に、クラスリン依存性エンドサイトーシス阻害剤であるmonodansylcadaverine(MDC)で処理した軸索が、反発性因子(セマフォリン3A、ミエリン関連糖タンパク質)に応答するか否かを検証した。いずれの反発性因子も、MDC存在下では軸索突起を反発することはできなかった。さらに、細胞質Ca^<2+>シグナルによる反発性旋回がエンドサイトーシスを必要とするか否かも検証した。エンドサイトーシスを阻害する各種変異タンパク質(epsin1_<R63L+H73L>、AP180_<C-terminus>、dynamin1_<K44A>)を過剰発現した成長円錐は、反発性Ca^<2+>シグナルに応答せずに直進した。以上の実験により、成長円錐での非対称的なクラスリン/ダイナミン依存性エンドサイトーシスが反発性軸索ガイダンスを媒介することが判明した。
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