2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索ガイダンスを制御する成長円錐形質膜の非対称性エンドサイトーシスの研究
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21500361
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 裕之 独立行政法人理化学研究所, 神経成長機構研究チーム, チームリーダー (10233933)
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Keywords | 軸索 / 成長円錐 / ガイダンス / エンドサイトーシス / エキソサイトーシス / カルシウムイオン / サイクリン依存性キナーゼ / カルシニューリン |
Research Abstract |
発生過程の軸索先端部(成長円錐)は、細胞外環境のガイダンス分子を認識して正しい方向へ旋回する。成長円錐での非対称的カルシウムシグナルが形質膜の供給(エキソサイトーシス)と取り込み(クラスリン/ダイナミン依存性エンドサイトーシス)のバランスを変化させ、その結果として成長円錐が旋回する仕組みを研究した。誘引性カルシウムシグナルがエンドサイトーシスを抑制する経路にCyclin-dependent kinase 5(Cdk5)およびカルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)が介在することを明らかにし、これらキナーゼを阻害した成長円錐では誘引性カルシウムシグナルがエンドサイトーシスとエキソサイトーシスの両者を促進することを証明した。エンドサイトーシスとエキソサイトーシスの両者が亢進した状態では成長円錐は直進したが、各種阻害剤によりエンドサイトーシスとエキソサイトーシスの一方を抑制すると、成長円錐はエンドサイトーシス抑制側あるいはエキソサイトーシス亢進側に向かって旋回した。以上、エンドサイトーシスとエキソサイトーシスのアンバランスが成長円錐の旋回を駆動することを明らかにし、そのシグナル伝達機構の一端を解明した。成長円錐でのエンドサイトーシスを制御するカルシニューリンおよびCyclin-dependent kinase 5(Cdk5)の基質を同定するために、これらフォスファターゼ/キナーゼの基質となり得るタンパク質phosphatidyl inositol(4)phosphate 5 kinase type Iγ(PIPKIγ)をクローニングし、リン酸化/脱リン酸化されるアミノ酸を置換した変異体を作製した。これら変異体を、ニワトリ胚脊髄後根神経節神経細胞に遺伝子導入して、成長円錐の旋回アッセイおよび膜動態の解析を行うための実験系を確立した。
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Research Products
(5 results)