2009 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアの突起伸長から遊走への運動能調節機構の解明
Project/Area Number |
21500363
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
大澤 圭子 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所 代謝研究部, 室長 (40392435)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経 / シグナル伝達 / グリア / 細胞運動 |
Research Abstract |
本年度は、細胞外ATPによるミクログリアの突起伸長と遊走能を調節する分子機構の解明するために、1:アデノシンの突起伸長に対する作用の解析と2:突起伸長調節に関わるアデノシンサブタイプの解析を行った。 1:トランスウェルを用いた突起伸長アッセイシステムを用いてATPに対するラット初代培養ミクログリアの突起伸長反応を調べたところ、ATPとADPには伸長活性が認められたが、P2Y12アゴニストとでADPアナログの2MeSADPには認められなかった。アデノシンと2MeSADPとで同時刺激すると伸長活性が回復し、アデノシン単独には突起伸長活性は認められなかった。また、ADPによる突起伸長はアデノシン受容体アンタゴニストにより阻害された。以上の結果から、アデノシンがP2Y12を介した突起伸長の調節に関与することが示された。 2:4つのアデノシン受容体サブタイプ(A1、A2A、A2BとA3)の中で、どのサブタイプが突起伸長調節に関わるかを各受容体サブタイプに選択的なアンタゴニストとアゴニストを用いて検討した。A3アンタゴニストがADP刺激による突起伸長に対する阻害作用を示し、A3アゴニストは2MeSADP刺激時における突起伸長をアデノシンと同様に回復させた。A1とA2Aに対するアンタゴニストとアゴニストにはどちらの刺激においても影響は認められなかった。以上の結果から、A3受容体が突起伸長に関与することを明らかにした。
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