2010 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアの突起伸長から遊走への運動能調節機構の解明
Project/Area Number |
21500363
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
大澤 圭子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所代謝研究部, 室長 (40392435)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経 / シグナル伝達 / グリア / 細胞運動 |
Research Abstract |
本研究は細胞外ATPによるミクログリアの突起伸長と遊走能を調節する分子機構の解明を目的としている。我々は前年度までにATPの分解産物であるアデノシンが、ラット初代培養ミクログリアに発現しているアデノシン受容体サブタイプ(A1、A2A、A3)の中でA3を介してミクログリアの突起伸長に関与することを示した。本年度は、1:ミクログリアの細胞遊走に関わるアデノシン受容体サブタイプの解析と、2:Iba1-GFPトランスジェニック(Tg)マウス海馬組織スライスを用いてEGFP標識された組織内ミクログリアの動態をリアルタイムに観察する系の検討をおこなった。 1:トランスウェルを用いた突起伸長解析系とEZ-TAXIScan細胞動態解析システムを用いて、ラット初代培養ミクログリアの突起伸長と遊走に対するアデノシ受容体サブタイプ選択的なアゴニストとアンタゴニストの影響を解析した。その結果、A3は突起伸長と遊走の両方に関わり、A1は遊走のみに関与することが判明した。 2:2光子レーザー顕微鏡を用いて、Iba1-GFP Tgマウスの海馬組織スライスの深部にレーザー照射で局所的な障害を与え、近傍に存在するラミファイドミクログリアの画像を5分おきに取得し観察した。ミクログリアは障害後数分以内に障害部位に向かって突起を伸長させ、30分後には障害部位を取り囲む像が観察された。これらの観察結果は、従来報告されているラミファイドミクログリアの挙動と一致しており、ミクログリアの障害部位への突起伸長の解析が可能となった。今後はこの系を用いてアデノシンシグナルの関与についてさらに解析を進めていく予定である。
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