2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアの突起伸長から遊走への運動能調節機構の解明
Project/Area Number |
21500363
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
大澤 圭子 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・代謝研究部, 室長 (40392435)
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Keywords | 神経科学 / 脳神経 / シグナル伝達 / ミクログリア / 細胞運動 / 細胞外ヌクレオチド / アデノシン受容体 |
Research Abstract |
本研究は細胞外ATPによるミクログリアの突起伸長と遊走能を調節する分子機構の解明を目的としている。前年度までに、我々はATP代謝産物であるアデノシンがアデノシン受容体サブタイプA3を介してATP受容体P2Y12刺激による突起伸長と遊走を促進することを示した。本年度は、1)アデノシン受容体A3の下流で機能する突起伸長調節シグナル系の解析と、2)組織内ミクログリアにおけるアデノシン受容体の発現パターンの解析を行った。 1)MAPキナーゼファミリーの一つであるJNKの活性化をJNKのリン酸化を指標としてウェスタンブロット法により解析したところ、ADPとA3選択的アゴニストの刺激によりミクログリアにおけるJNKの活性化が認められた。また、JNK選択的阻害剤がADPによるミクログリア突起伸長を有意に抑制した。これらの結果から、JNKシグナル経路が突起伸長調節に関わることが示唆された。 2)ラット成体脳から、パーコール密度勾配遠心法とCD11bとCD45の発現を指標としたFACSによりミクログリアを分取した。得られた細胞からmRNAを調製し、RT-PCR法でアデノシン受容体サブタイプの発現を解析したところ、A1とA3の発現は明らかに認められたが、A2Aは非常に弱く、A2Bについては認められなかった。初代培養ミクログリアにおいても同様の発現パターンが認められ、LPSでミクログリアを活性化するとA2Aの発現増加が確認された。以上の結果から、A1とA3が正常成体脳ミクログリアに発現していることが強く示唆された。
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