2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21500380
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
三浦 正巳 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究副部長 (40291091)
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Keywords | 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
「大脳皮質・基底核ループ」は運動機能に加えて手続き記憶、習慣形成や強化学習を担っている。さらに薬物依存や常同行動などの病態にも関係が深い。線条体は大脳基底核の入力核であり、大脳皮質と視床から入力を受けとる。視床線条体入力は「注意」や「決断と行動の修正」といった独特の機能を持つと考えられるが、皮質線条体入力に比べてあまり調べられていない。また視床線条体入力は、ストリオソーム/マトリックスと呼ばれる線条体のコンパートメント構造と解剖学的に関係が深い。 そこでコンパートメントをGFPで識別できるマウスを用いて、部位選択的に電気記録した。覚醒剤慢性投与でドーパミンが過剰な状況をつくると、ストリオソームでのc-Fosの発現が増加した。このとき同時に行動異常(ステレオタイピィ)が増悪した。c-Fosの発現増加はストリオソームでの異常な可塑性により興奮性が上昇した結果と考えられた。視床線条体入力は、ストリオソームでは棘突起に、マトリックスでは樹状突起に入る。またストリオソームにはD1受容体を持つ直接路の投射ニューロンが多い。解剖学的な違いと行動異常との関係が示唆された。 さらにGFPマウスの実験系を用いてコンパートメントとコリン作動性インターニューロンの関係を調べ、アセチルコリンとオピオイドの作用に違いがあることを見いだした。視床線条体入力の受け手には、投射ニューロンのほかに、コリン作動性インターニューロンがある。コリン作動性ニューロンは、ドーパミンとともに、投射ニューロンの可塑性を調節しているので、コンパートメント特異的な制御機構は、線条体の生理的、病的機能発現に重要と考えられた。
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Research Products
(5 results)