2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21500380
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Research Institution | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
Principal Investigator |
三浦 正巳 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (40291091)
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Keywords | 生理学 / 脳・神経 / 大脳基底核 |
Research Abstract |
「大脳皮質-基底核ループ」は運動機能に加えて手続き記憶、習慣形成や強化学習を担っている。また薬物依存や常同行動などの病態と関係が深い。線条体は大脳基底核の入力核であり、大脳皮質と視床から入力を受けとる。こうした皮質線条体入力と視床線条体入力は一様ではなく、ストリオソーム/マトリックスと呼ばれる線条体のコンパートメント構造と解剖学に特徴的な結合をしている。また線条体の投射ニューロンを含む大部分はGABA性ニューロンであり、線条体の内部は抑制性のネットワークを形成している。 本研究ではコンパートメントをGFPで識別できるマウスを用いて、部位選択的に電気記録する方法を確立した。それによってコンパートメントとGABA性抑制性入力の関係を調べ、アセチルコリンとオピオイドの作用に違いがあることを見いだしている。オピオイドはストリオソームの中だけでμオピオイド受容体を介して抑制性GABA性シナプス伝達を減弱させるのに対し、アセチルコリンはニコチン受容体を介して、マトリックス優位にGABA性入力を増強していた。さらに内在性のアセチルコリンがM1ムスカリニック受容体を介してオピオイドの作用に拮抗していること示した。こうしたオピオイドとアセチルコリンの作用は、投射ニューロンだけでなくコリン作動性ニューロンにもみられたが、いずれもストリオソームに特異的だった。 ストリオソームにみられたオピオイドとアセチルコリンの協調作用はコリン作動性ニューロンの活動に依存した短期可塑性といえる。視床線条体入力はコリン作動性インターニューロンに比較的濃く入力しているので内在性アセチルコリンの放出にも影響を与えるだろう。アセチルコリンはドーパミンとともに投射ニューロンの可塑性を調節している。コリン作動性ニューロンの作用がコンパートメントで異なることは可塑性のメカニズムがコンパートメント間で違うことを示唆している。
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Research Products
(7 results)