2009 Fiscal Year Annual Research Report
精子と卵子の融合に不可欠なチロシン硫酸化蛋白の同定
Project/Area Number |
21500385
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 宣哉 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (20302614)
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Keywords | チロシン硫酸化 / 精巣-卵子融合 |
Research Abstract |
近年、分泌蛋白または膜結合蛋白の特定チロシンが硫酸化されることが明らかとなり、硫酸化チロシンが蛋白間分子結合に関与し重要な翻訳後修飾と考えられるようになってきた。哺乳類は2種類のチロシン硫酸化を触媒する酵素Tyrosylprotein sulfotransferase(TPST1, TPST2)を持ち、このうちTpst2遺伝子を欠損するノックアウト(KO)マウスは、精子の数、運動性、先体反応には異常はないが、卵子との膜融合能力に異常があり不妊となることから、卵子との融合に重要な精子蛋白のチロシン側鎖がTPST2によって硫酸化されることが示唆された。本研究はTPST2によってチロシン硫酸化を受ける精子の蛋白をプロテオーム解析によって同定し、いまだ不明な点が多い精子-卵子の相互認識機構の分子基盤を解明する。精巣においてTPST1とTPST2は同等に発現しているため、TPST2欠損によって雄性不妊が起こる理由として、TPST1とTPST2の特定蛋白への特異性に違いがあることが考えられる。TPST2によって選択的にチロシン硫酸化を受ける蛋白を同定するためには、Tpst1 KOとTpst2 KOマウスの精巣で発現する蛋白のチロシン硫酸化の有無を調べることが必須である。しかしTpst1 KOは、正常マウスに比べ小さく、子宮内致死のため出産数が少ない。また、Tpst2 KOマウスは甲状腺機能低下症を発症し精巣の発達に影響を与える。またTpst1/Tpst2ダブルKOマウスは出生直前に致死となる。そこで、これらの症状の精巣に対する影響を完全に排除するために、Tpst1およびTpst2コンディショナルKOマウスを作出する。現在、ターゲッティングベクターをES細胞に導入し、相同組換え体を単離した。今後、このES細胞をマウス胚盤胞に移植し、キメラマウスを経てKOマウスを得て、解析に供する予定である。
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Research Products
(2 results)